「ダウの犬(Dogs of the Dow)」戦略は長年にわたり配当投資家に注目されてきましたが、近年その成果は芳しくありません。2025年、この伝統的な投資戦略は市場で再び輝きを取り戻すことができるのでしょうか?
「ダウの犬」戦略の概要
「ダウの犬」戦略は、ダウ平均株価を構成する30銘柄の中から配当利回りが最も高い10銘柄を選んで投資する手法です。これは主に逆張りの考え方に基づいており、「一時的に評価が低い銘柄が将来的に反発する」という仮定のもと運用されます。
- 配当利回りが高い理由
高配当利回りは多くの場合、株価が下落しているために生じます。市場で「犬(dog)」と見なされているこれらの銘柄は、成長性や経営に問題を抱えていることが多いですが、反転の可能性に賭ける投資家に注目されています。
2025年の「ダウの犬」構成銘柄
2025年版の「ダウの犬」戦略には以下の10銘柄が含まれています。
銘柄名 | 配当利回り |
---|---|
バライゾン | 7.4% |
シェブロン | 4.5% |
アムジェン | 3.9% |
ジョンソン&ジョンソン | 3.4% |
メルク | 3.3% |
コカ・コーラ | 3.2% |
IBM | 5.0% |
シスコシステムズ | 3.1% |
マクドナルド | 2.6% |
プロクター&ギャンブル | 2.5% |
平均配当利回りは**3.5%**で、これは全ダウ構成銘柄の平均配当利回り(約2%)を大きく上回っています。
2024年の「ダウの犬」の成績
2024年の「ダウの犬」は期待を裏切り、市場平均を大きく下回る成績を記録しました。
- 2024年のパフォーマンス
「ダウの犬」戦略は、ダウ平均株価指数の14%上昇、S&P 500指数の24%上昇に対し、平均1%の損失を記録しました(配当を除く)。
特に、2024年の構成銘柄であるウォルグリーン、ダウ、3Mは大幅な下落が目立ち、これが全体成績に悪影響を与えました。 - 市場全体との比較
過去6年間のうち5年間で、「ダウの犬」戦略はダウ平均株価やS&P 500指数に対して低迷しています。
2025年に期待される理由
それでも、「ダウの犬」が2025年に優れた成績を上げると期待される理由もいくつかあります。
- 低いPER(株価収益率)
2025年版「ダウの犬」のPERは平均16倍と、S&P 500指数の平均22倍を下回っています。割安とみなされる可能性があります。 - セクター分布の強み
エネルギー、生活必需品、ヘルスケア銘柄が多く含まれており、これらは市場のボラティリティに強いセクターです。 - 堅実な配当収益
平均3.5%の配当利回りは、投資家に安定した現金収入を提供します。
注目銘柄:アナリスト推奨の「ダウの犬」
「ダウの犬」の中でも特にアナリストの評価が高い2銘柄に注目すると、コカ・コーラとメルクが挙げられます。
銘柄名 | 配当利回り | アナリストの買い推奨割合 |
---|---|---|
コカ・コーラ | 3.2% | 76% |
メルク | 3.3% | 81% |
これらの銘柄は配当利回りが高いだけでなく、アナリストの間でも評価が高いため、2025年に注目すべき候補といえます。
「ダウの犬」戦略の限界と代替案
「ダウの犬」戦略の限界を理解し、他の戦略も検討することが重要です。
- 広範な市場に劣る可能性
過去数年のデータは、「ダウの犬」戦略が市場平均に劣ることを示しています。これは高配当株が必ずしも市場で反発しないためです。 - 分散投資の重要性
「ダウの犬」だけに依存せず、他の配当戦略や成長株への分散を検討することが賢明です。
結論:2025年は転換点となるか?
「ダウの犬」戦略は2025年に再び市場平均を上回る可能性を秘めていますが、その道のりは平坦ではないでしょう。市場全体がインフレ、金利上昇、AI関連株への集中といったテーマで動く中、「ダウの犬」がどのようにパフォーマンスを見せるかが注目されます。
投資家にとって、配当利回りだけでなく、銘柄の成長性や業績の安定性も慎重に見極めることが求められます。