ITアウトソーシングと聞くと、多くの人は大量の人員を必要とする低利益のビジネスモデルを思い浮かべるかもしれません。しかし、この業界もAIの導入と共に変化しており、その波に乗っている企業の一つがタスクアス(TaskUs)です。
1. タスクアスの企業概要
タスクアスは、アウトソーシング業界においてハイテク企業を主要な顧客として位置づけ、これらの企業が消費者サービスを改善し、変化する規制環境に適応できるよう支援している会社です。2020年12月時点で100社以上の顧客を持ち、その大部分はソーシャルメディア、eコマース、オンラインゲーム、ストリーミングメディア、フードデリバリー、ライドシェアリングなどの新興テクノロジーサービス関連企業です。これらのテクノロジーサービス業界は、2019年から2023年にかけて年平均18%以上の成長が見込まれています。
タスクアスは、デジタルカスタマーサービス、コンテンツセキュリティ、AIの3つの主要サービスを提供しています。2020年時点で、同社のサービスの96%以上が音声ベースではないデジタルチャネルおよびオムニチャネルサービスであり、これらのサービス提供方法はビジネスの最適化に貢献しています。
同社のデジタルカスタマーサービスは、モバイル環境で変化する顧客の行動パターンに焦点を当てています。代表的な顧客にはZoom、Netflix、Uber、Coinbaseなどがあり、これらの企業の顧客行動は昔と大きく異なります。
重要な点は、タスクアスが多くの大手顧客を持っているものの、最も重要な顧客でさえも同社の売上に6%以上の寄与をしていないことです。このような顧客に対応するため、同社は自社のサービスを迅速かつ柔軟に変化させており、2017年以降、50社以上の顧客がタスクアスを初めてのアウトソーシングパートナーとして選んでいます。これらはすべて、同社の高い成長を支える要因となっています。
2. ビジネスモデルと戦略
タスクアスのビジネスモデルと戦略は、提供するサービスに基づいたコストにマージンを加える、固定価格での契約、または使用量に応じた課金など、多様な料金体系を採用しています。
同社の成長戦略は、既存の顧客を維持しつつ、これらの顧客からの売上を増やすことに重点を置いています。この戦略の成果は、2018年から2020年にかけて125%に達したNet revenue retention(純売上保持率)によって示されています。この目標を達成するために、タスクアスは新しいサービス、コンサルティング、プロセス自動化などのソリューションを継続的に開発しています。
2020年末の基準で、タスクアスにとって重要なアウトソーシング費用を支払うことができる、50万ドル以上の売上を生み出す顧客が72社存在し、同社はこれらの顧客数を今後も増やしていく計画です。プロジェクトの受注成功率や新規顧客の獲得数を見ると、同社は引き続き成長していることがわかります。
3. 市場状況と競争
タスクアスの市場機会は約1000億ドルと推定されており、そのうち約770億ドルがデジタル顧客体験関連サービスです。競争に対応するため、タスクアスは各顧客群の理解を深め、経験を積むことに努めています。
競合他社との比較
タスクアスの主な競合には、テルアス(TelUS)やCNXC(Concentrix)などがあります。これらの企業はタスクアスよりも規模が大きいですが、タスクアスはデジタル化されたアウトソーシングプラットフォームとしての強みを持っています。
まとめ
タスクアスは、ITアウトソーシング業界において、デジタル変革と顧客ニーズの理解に焦点を当てた独自の戦略で急速に成長しています。このようなアプローチは、今後も業界の新たな標準を築く可能性を秘めています。