業績ハイライト
2024年7月24日、アルファベットはFY2Q24(2024年6月末)の業績を発表しました。発表後、時間外取引で株価は-2.19%下落しました。主なハイライトは以下の通りです。
- 売上高:713.6億ドル(前年同期比+15.0%、前四半期比+5.6%、コンセンサス比+0.9%)
- 営業利益:274.3億ドル(前年同期比+25.6%、前四半期比+7.7%、コンセンサス比+4.0%)
- 営業利益率:38.4%(前年同期比+3.3%p、前四半期比+0.8%p、コンセンサス比+1.1%p)
- EPS:1.89ドル(前年同期比+31.3%、前四半期比変わらず、コンセンサス比-0.9%)
業績は好調でしたが、YouTube広告収益の減少により、株価は下落しました。AIやWaymoなどの長期的なモメンタムは依然として強力です。
業績の詳細
アルファベットのFY2Q24は、AIを活用した検索広告とクラウド事業の成長が全体の好業績を牽引しました。
売上高
売上高は713.6億ドルで、前年同期比+15.0%、前四半期比+5.6%、コンセンサス比+0.9%の増加となりました。特に以下の要因が大きく影響しました。
- Google Advertising:前年同期比+11.1%、前四半期比+4.8%、コンセンサス比+0.1%
- AIを活用した広告効率の向上により、Google検索広告とYouTube広告がそれぞれ前年同期比+13.8%、+13.0%の増加を記録しました。しかし、TikTokなどのショートフォームビデオとの競争激化により、YouTube広告収益は市場コンセンサス比-3.2%下回りました。
- Google Cloud:前年同期比+28.8%、前四半期比+8.1%、コンセンサス比+2.5%
- AIが牽引するGoogle Cloud Platform(GCP)の成長により、クラウド事業部は初めて四半期売上高100億ドルと営業利益10億ドルを突破しました。クラウド顧客上位100社のほとんどが生成型AIソリューションを利用していることが強調されました。
短期および長期の成長モメンタム
アルファベットの3Q24の見通しに関するコメントとして、以下の点が挙げられました。
- YouTube広告:前年同期からのYouTube TV価格引き上げと中国のEコマース広告の増加による基底効果で、徐々に収益成長が鈍化すると予想されています。
- クラウド事業:AIインフラと生成型AIソリューションの提供により、強力な成長が続くと予想されます。
- 新事業:長期的な収益性に焦点を当てた投資が続けられる予定で、特に自動運転事業のWaymoに今後数年間で50億ドルの追加投資が発表されました。Waymoは既に200万件の有料運行と2千万マイル以上の無人運行を提供し、ロサンゼルスやテキサス州オースティンへの運行拡大を計画しています。
- 営業利益率:技術インフラ構築のための投資費用と減価償却費の増加により鈍化が予想されますが、2024年の年間営業利益率は2023年よりも改善すると見込まれています。
まとめ
アルファベットのFY2Q24の業績は、全体として市場コンセンサスを上回る好結果となりましたが、YouTube広告収益の減少が影響し、株価は時間外で約2%下落しました。経営陣はYouTubeが米国内のストリーミング視聴時間で依然としてトップであり、ショート動画「ショーツ」やConnected TVの視聴回数が前年同期比2倍に増加したと強調しました。しかし、広告収益に対する確かなガイダンスが不足していたため、市場参加者の失望を招いたと考えられます。
生成型AIの拡張性とクラウド事業の成長を考慮すると、長期的な成長モメンタムは依然として強力であると判断されます。8月13日に公開予定のPixel 9シリーズの発表や「Made by Google」イベントが株価モメンタムとして作用する可能性があります。Pixel 9シリーズには、Gemini AIの改善やAndroid 15 OSが搭載される予定です。また、アルファベットは今四半期も1株当たり0.20ドルの四半期配当金を発表し、9月9日を配当基準日、9月16日を配当支払日と設定しました。
個人投資家としては、短期的な株価変動に左右されず、長期的な視点でアルファベットの成長ポテンシャルを評価することが重要です。