伝説の投資家ウォーレン・バフェットの片腕として知られたチャーリー・マンガー。彼は単なる金銭的成功を超えた思考の深さで多くの投資家に影響を与えてきました。バフェットとともにバークシャー・ハサウェイを率いた彼の判断力は、投資だけでなく人生そのものを成功へと導いたといわれています。
その秘訣のひとつが、「趣味の質と習慣の力」にありました。今回は、マンガーが人生と投資の両面で重視していた10の趣味・習慣について解説します。
1. 学問横断的な読書
マンガーは経済学だけでなく、生物学、心理学、歴史といった幅広い分野を読み込むことで「多面的な視点」を獲得しました。異なる学問を横断する読書によって、複雑な問題を単純化し、投資判断に活かす思考の枠組み（mental models）を構築していたのです。
2. 日記と深い内省
彼は毎日、時間を取って思索と日記の記録を行っていました。深く考えることを通じて、意思決定をする際のノイズを取り除き、本質的な課題を見極める習慣を養っていたのです。
3. 数学的思考による問題解決
確率論や統計を使った投資判断を行っていたマンガー。複雑な問題も数値化して客観的に分析するという姿勢は、日常の問題解決にも応用されていました。数学の知識は、感情に左右されない判断を可能にする武器でもあります。
4. ブリッジ（カードゲーム）
彼はバフェットとともにブリッジをこよなく愛しました。このゲームは戦略・記憶力・協調性を要求し、論理的思考やパターン認識能力を高めるのに最適です。投資の意思決定に必要な「応用力」を鍛えるトレーニングにもなっていたと言えるでしょう。
5. 慈善活動
マンガーは利益追求だけでなく、社会的貢献にも積極的でした。大学への寄付や建築設計への参加などを通じて、未来への価値提供に情熱を注ぎました。社会にどう貢献するかという視点は、投資家としての倫理観や持続可能性を考えるうえで欠かせません。
6. 意見交換と批判的対話
彼は「イエスマン」を避け、あえて反対意見をぶつけてくる人物と対話することで自らの思考を磨いていました。ウォーレン・バフェットとの対話はその典型例です。他人との知的交流は、視野を広げ、思い込みを正す機会を生み出します。
7. 実践的な例え話の収集
マンガーは「話術」にも長けており、複雑な理論を誰にでもわかる比喩で語る能力に長けていました。有名な「ロラパルーザ効果」のような言葉を使い、印象に残る形で思考法を伝えることができたのです。
8. 不動産投資
若い頃には不動産投資を実践していたマンガー。レバレッジやキャッシュフロー管理の経験を積むことで、現実世界での資産運用に関する感覚を培っていきました。実物資産への投資から得た学びは、後の株式投資にも通じるものがあります。
9. 心理学の探究
マンガーは心理学に深い関心を持ち、特に人間の非合理な行動に着目していました。「確証バイアス」「損失回避」などの概念を理解することで、マーケットの集団心理や投資判断のズレを見抜くことができたのです。
10. ソリューションデザイン
彼はカリフォルニア大学で学生寮の設計に関わるなど、実践的な設計思考にも関心がありました。問題の本質を見抜き、現実的かつ持続可能な解決策を見出す能力は、投資の世界でも役立つスキルです。
おわりに：趣味は成功へのツールである
チャーリー・マンガーの人生と投資成功の裏には、こうした「深い趣味の実践と内省的な習慣」がありました。単なる娯楽ではなく、思考力・判断力・倫理観を磨くためのツールとして、彼は趣味を活用していたのです。
現代を生きる私たちにとっても、マンガーのように幅広い趣味と学びを通じて、自分自身の「投資家としての器」を広げていくことが、真の意味での資産形成と人生の充実につながるのではないでしょうか。
