モデルナ(ティッカー: MRNA)は、mRNA技術を基盤にした革新的な治療薬とワクチンを開発するバイオテクノロジー企業です。COVID-19ワクチンで一世を風靡した同社ですが、最近の売上減少や競争激化に直面しています。2025年には新しい成長エンジンとして鳥インフルエンザ(H5N1)ワクチンの開発が注目を集めています。
最近の株価動向
- 現在株価: $43.17(2025年1月8日時点)、前日比で約9%下落
- 株価変動要因:
- アメリカでの鳥インフルエンザ初死亡例発生に伴い、H5N1ワクチン開発への期待感で一時12%上昇(1月7日)。
- COVID-19とインフルエンザの症例増加によるワクチン需要の高まり。
- 52週高値/安値: $170.47 / $35.80
高いボラティリティが続いており、短期的な投資リスクが大きい状況です。
財務状況
2024年の主な実績
- 売上高: 19億ドル(前年同期比微増)
- 純利益: 1,300万ドル(1株当たり $0.03)
前年の赤字から黒字転換。 - 通期売上予測: 30億~35億ドル(従来予測40億ドルから下方修正)
- 現金保有高: 92億ドル(2024年9月時点)、安定した財務基盤を維持。
費用構造
- 研究開発費(R&D): 年間46億~47億ドルと予測。
- 販売および管理費用(SG&A): 12億ドルで効率性向上を継続中。
成長エンジン
ワクチンパイプライン
- 鳥インフルエンザ(H5N1)ワクチン:
- 初期段階の臨床試験中。
- アメリカ連邦政府から1.76億ドルの投資を受ける。
- アメリカでの初死亡例を受けて市場関心が急上昇。
- COVID-19およびインフルエンザ結合ワクチン:
- mRNA技術を利用した結合型ワクチンの商業化準備中。
- RSVワクチン(呼吸器合胞体ウイルス):
- アメリカ、ヨーロッパで承認を取得し販売を開始。
- 癌および希少疾患治療薬:
- メルクとの提携により個別化がん治療薬の臨床試験を進行中。
製造能力の強化
- 2025年までに3つの新しい生産施設を稼働させ、製造効率の向上を計画。
リスク要因
- 売上減少:
COVID-19ワクチンの売上減少により、2024年の収益はピーク時から約80%以上減少。 - 競争の激化:
GSKやファイザーなどの大手製薬会社との市場シェア争いが激化。RSVやインフルエンザ市場で優位性を維持することが課題。 - 株価のボラティリティ:
投資家心理の変動による短期的な株価乱高下リスク。 - 臨床試験の失敗可能性:
初期段階の製品が商業化に失敗した場合、さらなる損失が予想される。
投資戦略
短期投資
- 鳥インフルエンザワクチンやCOVID-19関連のニュースによるポジティブなモメンタムを活用可能。
- ただし、ボラティリティの高い環境下では明確な損切りラインを設定する必要あり。
長期投資
- mRNA技術を基盤とした広範なパイプラインと製造能力の拡張は、長期的な成長を支える要因。
- 売上回復や競争優位性を継続的にモニタリングしつつ、リスクを分散したポートフォリオ構築が望ましい。
結論
モデルナは革新的なmRNA技術を活用し、新しい治療法やワクチン開発をリードする企業です。特に鳥インフルエンザワクチンの開発進展は短期的な株価上昇の大きな要因となっています。一方で、COVID-19後の売上減少や市場競争の激化は主要なリスクです。
投資を検討する際は、短期的なニュースモメンタムと長期的な成長可能性をバランス良く評価することが重要です。
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