クリーンエネルギーとして注目を集める「原子力」。特に2025年に入ってから、メタ・プラットフォームズ(Meta Platforms)がコンスティレーション・エナジー(Constellation Energy)と結んだ20年間の大規模な原子力発電契約は、再び原子力株に対する関心を高めるきっかけとなりました。
こうした動きの背後には、生成AIやクラウド技術といった電力を大量に消費する先端分野が存在しており、アマゾンやマイクロソフト、アルファベットなども、安定供給可能な電源として原子力への投資を強めています。
原子力関連株を見つけるためのETF戦略
個別銘柄を探すのが難しいという方には、まず原子力関連ETF(上場投資信託)の保有銘柄に注目する方法がおすすめです。今回は、以下の4つのETFに注目し、それぞれに含まれる有望企業の中から将来性の高い10社をピックアップしました。
1. URA(Global X Uranium ETF)
- 保有企業数:47社
- 運用資産:32億ドル
- 特徴:ウラン採掘や原子力設備製造に特化。純度スコアに応じて組入比率を調整。
- 運用コスト:年0.69%
2. NLR(VanEck Uranium & Nuclear ETF)
- 保有企業数:25社
- 運用資産:12億ドル
- 特徴:ユーティリティ銘柄の比重が高く、やや大型株寄り。
- 運用コスト:年0.56%
3. NUKZ(Range Nuclear Renaissance Index ETF)
- 保有企業数:44社
- 運用資産:2.56億ドル
- 特徴:新興ETFながら、地理・業種多様性に配慮した設計。
- 運用コスト:年0.85%
4. URAN(Themes Uranium & Nuclear ETF)
- 保有企業数:33社
- 運用資産:600万ドル(新興ETF)
- 特徴:最も低コストで、テーマ露出スコアに基づき構成。
- 運用コスト:年0.35%
これら4本のETFに共通して含まれている銘柄や、アナリストの評価が高く、目標株価に対する上昇余地が大きい企業を調査した結果、以下の10社が選ばれました。
世界の原子力関連注目株トップ10(2025年時点)
企業名(国) | 株価(6月2日時点) | 12ヶ月目標株価 | 上昇余地 | 組入ETF |
---|---|---|---|---|
Denison Mines(カナダ) | 2.08ドル | 4.04ドル | +94% | URA, NLR, URAN |
NexGen Energy(カナダ) | 8.24ドル | 12.85ドル | +56% | URA, NLR, URAN |
富士電機(日本) | ¥6,302 | ¥8,542 | +36% | NUKZ |
Paladin Energy(豪州) | 5.99ドル | 7.80ドル | +30% | URA, NLR, URAN |
PG&E(米国) | 16.65ドル | 21.10ドル | +27% | NLR, NUKZ, URAN |
Flowserve(米国) | 49.42ドル | 62.50ドル | +26% | NUKZ |
Kazatomprom(カザフスタン) | 38.40ドル | 48.54ドル | +26% | URA, NLR, URAN |
Samsung C&T(韓国) | ₩151,300 | ₩180,077 | +19% | URA, NUKZ |
CGN Power(中国) | 2.54ドル | 2.99ドル | +18% | NLR, NUKZ, URAN |
日立製作所(日本) | ¥3,978 | ¥4,638 | +17% | NUKZ |
投資における注意点
原子力関連銘柄は今後数年にわたって需要増が期待される分野ではあるものの、政策や規制、事故リスクといった外部要因の影響を受けやすい点には注意が必要です。
また、株式投資はあくまで自己判断が原則です。上記企業の詳細情報を調査し、財務状況、競争優位性、将来の市場環境などを自分の目で見極めたうえで判断することが大切です。
まとめ
脱炭素社会に向けた動きが加速する中で、原子力エネルギーへの注目は確実に高まっています。大手テック企業もこの動きを牽引しており、インフラ投資の重要な柱として今後も存在感を増していくでしょう。
原子力関連ETFやその中で高評価を受ける企業に目を向けることで、次世代エネルギー市場の波に乗るチャンスを見つけられるかもしれません。