AI半導体王者NVIDIA、好決算も株価急落。その裏側にある理由とは?
人工知能(AI)半導体市場をリードするNVIDIAが、市場予想を上回る好決算を発表したにもかかわらず、株価は急落しました。一体なぜなのでしょうか?今回はその背景と理由を深掘りしていきます。
驚異的な成長からの減速懸念
NVIDIAは2023年8月28日、第2四半期(5~7月)の売上高が前年同期比で2倍以上増加し、300億ドルを記録したと発表しました。さらに、第3四半期(8~10月)の売上高は約325億ドルになるとの見通しを示し、これはウォール街の予想を上回る数値です。
NVIDIAの四半期売上高が300億ドルを超えたのは今回が初めてですが、投資家たちの期待値はさらに高まっていたようです。
市場期待とのギャップ
ニューヨーク証券取引所におけるNVIDIAの株価は、通常取引では2.10%下落して引け、決算発表後の時間外取引では一時8%近く下落しました。
Bloombergは、この株価下落について、市場の期待値を満たすには不十分だったと分析しています。第3四半期の売上高予想は市場平均予想を上回ったものの、最高予想の379億ドルには届かなかったこと、また、第2四半期の売上高も市場予想を上回ったものの、過去6四半期で最も低い伸び率(4.1%)であったことが指摘されています。
成長鈍化への懸念
Carson GroupのRyan Dietrick氏は、「成長幅が予想よりもはるかに小さかった」と述べ、今後の業績見通しも上方修正されたものの、以前ほどの水準ではないと指摘しています。
CNNも、「NVIDIAは再びウォール街の予想を上回る業績を発表したが、過去2年間の驚異的な成長を考えると、この程度の数字では投資家に深い印象を与えるには不十分かもしれない」と報じています。
次世代AIチップ「Blackwell」の設計問題
NVIDIAは決算発表で、次世代AIチップ「Blackwell」の設計上の問題を認めました。一部報道によると、Blackwellの試作品で設計上の欠陥が見つかり、発売が2024年第1四半期に延期されたとのことです。
NVIDIAは、Blackwellチップの生産障害を解決するために製造プロセスを変更していると述べています。生産が円滑ではないという懸念を認めた形ですが、Blackwellは第4四半期に出荷される予定であり、数十億ドルの追加売上高をもたらすと強調しています。
まとめ
NVIDIAはAI半導体市場を牽引する企業であり、今後も成長が期待されています。しかし、市場の期待値は非常に高く、今回の決算発表は投資家たちの期待を満たすには不十分だったようです。
Blackwellチップの設計問題も株価下落の一因となりましたが、NVIDIAは問題解決に向けて取り組んでおり、今後の動向に注目が集まります。