業績ハイライト
2024年7月24日にテスラはFY2Q24(2024年6月末)の業績を発表しました。発表直後、時間外取引でテスラの株価は-7.76%下落しました。主なハイライトは以下の通りです。
- 売上高:255億ドル(前年同期比+2.3%、前四半期比+19.7%、コンセンサス比+3.5%)
- 営業利益:16.05億ドル(前年同期比-33.1%、前四半期比+37.1%、コンセンサス比-11.1%)
- 営業利益率:+6.3%(前年同期比-3.3%p、前四半期比+0.8%p、コンセンサス比-1.0%p)
- 純利益:18.12億ドル(前年同期比-33.0%、前四半期比+18.0%、コンセンサス比-16.4%)
- 調整後EPS:0.52ドル(前年同期比-42.9%、前四半期比+15.6%、コンセンサス比-13.3%)
業績の詳細
テスラのFY2Q24は、売上高は予想を上回ったものの、その他の指標は軒並み予想を下回る結果となりました。
売上高
売上高は255億ドルで、前年同期比+2.3%、前四半期比+19.7%、コンセンサス比+3.5%の増加となりました。売上高にプラスの影響を与えた要因は以下の通りです。
- エネルギー保存システム(ESS)事業の成長(前四半期比+84.3%)
- サイバートラックの生産量増加(3倍)
- 排出ガスクレジットの増加(前四半期比+101.4%)
- サービスおよびその他の売上増加(前四半期比+14.0%)
営業利益
営業利益は16.05億ドルで、前年同期比-33.1%、前四半期比+37.1%、コンセンサス比-11.1%となりました。営業利益にプラスの影響を与えた要因は以下の通りです。
- 排出ガスクレジットの増加
- ESS事業の成長
- 車両当たりのコスト減少(原材料費、輸送費、関税の減少)
- 4680セル生産コストの減少
電気自動車事業の現状と中長期的ビジョン
テスラの売上を大きく3つのカテゴリーに分けると、車両関連売上、ESS(エネルギー保存システム)関連売上、その他のサービス売上があります。これらの割合はそれぞれ78%、12%、10%です。車両関連売上が依然としてテスラの業績に大きな影響を与えています。
車両関連売上の現状
車両関連売上の低迷は、以下の要因によるものです。
- 車両平均販売価格(ASP)の減少
- 出荷台数の減少
ASPの減少は、車両当たりのコスト削減と価格競争力を高めるための戦略の一環であるため、大きな問題とはなりません。しかし、出荷台数の減少は注視する必要があります。
テスラはFSD(完全自動運転)パッケージの価格を2023年9月の12,000ドルから2024年4月に8,000ドルへ約33%引き下げ、またサブスクリプション価格も199ドルから99ドルへ約50%引き下げました。これにより、2024年第2四半期のFSD関連売上は27.9億ドルとなり、前四半期比-7.6%の減少となりました。
エネルギー保存システム(ESS)の成長
ESS事業の売上は30.1億ドルを記録し、前四半期比+84.3%、前年同期比+100%という驚異的な成長を見せました。総発電容量9.4GWhを達成し、上海のメガパック工場も2025年第1四半期の生産開始を目指しています。今年のESSの売上は既に2023年の60.3億ドルの77%を達成しており、今後も成長が期待されます。
まとめ
テスラのFY2Q24の業績は、売上高の増加が見られた一方で、利益面では予想を下回る結果となりました。特に車両関連売上の減少が影響していますが、ESS事業の成長や自動運転技術の進展により、中長期的なビジョンは依然として明るいです。個人投資家としては、短期的な株価変動に一喜一憂せず、中長期的な視点でテスラの成長ポテンシャルを評価することが重要です。