株式市場の動きを理解するためには、ボラティリティ、つまり市場の変動性を把握することが重要です。この記事では、株式市場の予想ボラティリティを測るツールであるVIX(ボラティリティ・インデックス)に焦点を当て、その役割と機能について解説します。
1. VIX(ボラティリティ・インデックス)とは何か?
VIXは、株式市場の期待されるボラティリティ、すなわち市場の変動の幅を測る指標です。特に、米国の株式市場における重要なベンチマークとされており、日々の市場動向を示す指標として広くフォローされています。
1.1. ボラティリティとは?
ボラティリティは、証券の価値がどれだけ変動するかを示すリスクの尺度です。これは、証券または指数から得られるリターンの変動の幅を使用して測定されます。高いボラティリティを持つ証券は、短期間で価格が大きく変動する可能性があります。一方、低いボラティリティの証券は、価格が安定しやすい傾向にあります。
1.2. ボラティリティの種類
ボラティリティには、以下の3つの主要なタイプがあります。
- 標準偏差:特定期間における証券の価格変動を測定します。
- ベータ値(β):市場に対する証券のボラティリティを測定します。ベータ値が1.0を超えると、市場よりもボラティリティが高いと見なされます。
- インプライド・ボラティリティ:オプション価格から計算され、将来の証券価格の変動を推定するのに使用されます。
2. VIXの仕組み
VIXは、S&P 500オプションの価格に基づいて、30日間の満期を持つ仮想的なS&P 500株オプションの年率化されたインプライド・ボラティリティを示します。この指標を利用することで、投資家はS&P 500指数が今後30日間でどれだけ変動するかを予測できます。
VIXは、S&P 500指数のボラティリティを測るだけでなく、米国株式市場のベンチマークとしても機能します。VIXのパフォーマンスはS&P 500と逆相関を示す傾向にあり、VIXの価格が上がるとS&P 500の価格は通常下がります。
2.1. VIXの計算方法
VIXの計算には、以下のステップが含まれます。
- 計算に含めるオプションを選択します。これには、ターゲットの30日間のマークの前後にある2つの連続する有効期限のコールおよびプットストライクの範囲が含まれるべきです。
- 各オプションがその有効期限の総分散にどの程度貢献するかを計算します。
- 1番目および2番目の有効期限の総分散を、貢献度を合計して取得します。
- それぞれの有効期限までの時間に応じて、2つの分散を補間して30日間の分散を計算します。
- 標準偏差としてのボラティリティを取得するために、平方根を取ります。その後、ボラティリティ(標準偏差)に100を掛けます。
この結果がVIX指数値となります。
3. VIX指数の利用方法
VIXは、市場センチメントとボラティリティを把握し、投資機会を特定するために投資家に役立ちます。ボラティリティはしばしば株式市場のパフォーマンスの低下を示すため、投機やリスクヘッジに利用することができます。
VIXの価格が以下の範囲にある場合、市場の状況は以下のように解釈されることが一般的です。
- 0-15:市場にはある程度の楽観主義があり、ボラティリティは非常に低いことを示します。
- 15-25:ある程度のボラティリティがあるが、極端ではないことを示します。
- 25-30:市場にはある程度の乱高下があり、ボラティリティが増加していることを示します。
- 30以上:市場は非常にボラティリティが高く、間もなく大きな変動がある可能性があることを示します。
VIXは指数であり、オプションや交換取引製品を使用して追跡および取引することができます。投資家はまた、VIXの値を使用して派生商品を価格設定することもできます。
VIX自体は株や債券のように購入することはできません。代わりに、VIXの変動に応答する金融商品を購入する必要があります。トレーダーは、VIXオプションと先物を通じてヘッジを行うことができます。
また、VIXのボラティリティ上場商品(ETP)も20種類近くあります。これには、資産を保有する上場投資信託(ETF)と上場債券(ETN)の両方が含まれます。