2024年総括:米国株式市場、25年ぶりの大幅上昇
2024年の米国株式市場は、驚異的な成果を記録しました。S&P500指数は年内に57回の史上最高値を更新し、1997年から1998年のインターネットバブル期以来、初めて2年連続でこれほど高いパフォーマンスを達成しました。この上昇は投資家に莫大な利益をもたらし、ウォール街全体に楽観的なムードを広めました。
2024年の米国株式市場を支えた要因
1. 強固な経済基盤とインフレ抑制
米国経済は2024年を通じて安定した成長を見せ、インフレ率は予想よりも早く低下しました。この安定性が、投資家に株式市場への信頼を与えました。
2. FRBの金利政策
米連邦準備制度理事会(FRB)は2024年に金利を段階的に引き下げ、緩和政策に転じました。この動きは、借入コストの低下を通じて企業活動を刺激し、株式市場の好調さを後押ししました。
3. 技術株の圧倒的パフォーマンス
AI関連技術の需要増加により、特に「マグニフィセント7」(アルファベット、アマゾン、アップル、メタ、マイクロソフト、エヌビディア、テスラ)がS&P500の上昇を牽引しました。エヌビディアの市場価値は3兆ドルを超え、指数全体の21%の収益に貢献しました。
投資家の懸念事項
1. 株価の過熱感
現在、S&P500指数の予想PERは21.9倍と10年平均の18.5倍を上回り、「株価が割高だ」との声が高まっています。特に、AI分野への多額の投資がいつ利益に転じるのかという不透明感が投資家の慎重な姿勢を誘発しています。
2. 金利の先行き不透明感
FRBは2024年末にさらなる金利引き下げを示唆しましたが、その速度と規模は依然不明瞭です。特に長期国債の金利が上昇しており、借入コストが予想以上に高止まりする可能性があります。
3. 政治的リスク
2024年の米大統領選でトランプ氏が勝利したことにより、減税や規制緩和への期待が高まる一方、貿易関税の復活や移民政策の厳格化がインフレを再燃させるリスクも指摘されています。
2025年の展望:成長が鍵を握る
2025年の株式市場は、企業収益の成長がさらなる上昇の鍵を握ると考えられます。ファクトセットのデータによれば、S&P500企業の利益成長率は2024年の9.5%から2025年には15%に加速すると予想されています。
一方で、利下げ効果が限定的な場合、投資家は再び分散投資を模索する可能性があります。特に、割安感が強い小型株や非技術系のセクター(金融、ユーティリティ、産業)に注目が集まると見られています。
まとめ:安定成長とリスク分散の両立がカギ
2024年は米国株式市場が歴史的な成果を挙げた年でしたが、その背景には経済の安定性とFRBの政策が大きく影響しています。しかし、2025年にはさらなる成長を見込む一方で、割高な株価や金利の不透明感といったリスクにも目を向ける必要があります。
投資家にとって、成長性のあるセクターを慎重に選びながら、ポートフォリオのリスク分散を進めることが求められます。