2024年の米国株市場:AI主導のラリーとその主要貢献銘柄を振り返る
2024年、米国株市場は多くの不確実性にもかかわらず驚異的な上昇を遂げました。特に、人工知能(AI)関連銘柄が市場の牽引役となり、「S&P 500指数」や「ナスダック」を史上最高水準に押し上げました。本記事では、2024年の株式市場を動かした主な要因と、最も貢献した銘柄について深掘りします。
AI関連銘柄がラリーを牽引
2024年のS&P 500指数は年間25%のリターンを記録しました。この急騰を支えたのが、いわゆる「マグニフィセント7」と呼ばれるAI関連のメガキャップ企業、つまりアップル(AAPL)、アマゾン(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)、メタ(META)、アルファベット(GOOG)、テスラ(TSLA)、そしてエヌビディア(NVDA)です。
特に、AIチップ市場をリードするエヌビディアは年間で171%の株価上昇を達成し、S&P 500指数全体の年間リターンの22%以上に寄与しました。この上昇により、エヌビディアは市場全体のAI投資サイクルを象徴する存在となりました。
一方、テスラ(63%上昇)やアマゾン(44%上昇)も市場全体に大きな影響を与え、消費関連株としての位置づけを強固にしました。
セクター別の寄与:テクノロジーが主役
S&P 500指数の年間リターンに最も寄与したセクターは情報技術と通信サービスでした。この2つのセクターは、指数全体のリターンの56.5%を占めており、これらを除いた場合のリターンはわずか11%にとどまります。
金融セクター(寄与率15%)や一般消費財セクター(寄与率11%)も堅調に推移しましたが、これらもアマゾンやテスラといった特定の企業に大きく依存していることが明らかです。
2024年のトップ銘柄とワースト銘柄
最高のパフォーマンスを誇る銘柄
- エヌビディア(NVDA): 株価+171%
- パランティア(PLTR): 株価+340%
- データセンター関連企業のビストラ(Vistrara): 株価+260%
大きく値を下げた銘柄
- インテル(INTC): 株価-60%
- AI市場での競争力低下、大規模な人員削減
- ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA): 株価-64%
- 店舗閉鎖と巨額の負債
- モデルナ(MRNA): 株価-60%
- コロナワクチン売上の減少
AI関連銘柄が市場を席巻する中、これらのワースト銘柄は経営上の課題や市場シェアの低下が影響しました。
2024年の市場トレンドが示す教訓
- AIブームの強力な影響力
エヌビディアやパランティアのようなAI関連銘柄が、テクノロジー業界全体の成長を牽引しました。しかし、過去2週間でナスダック指数が4%下落したように、過熱感からの調整も見られています。 - 指数への集中リスク
S&P 500指数は、エヌビディアやアップルといったメガキャップ企業のパフォーマンスに大きく依存しています。このため、少数の銘柄に過度に集中するリスクが顕在化しています。 - 消費者行動の変化
経済的不安が続く中でも、テスラやアマゾンのような企業が消費セクターを支えています。ただし、これが続く保証はありません。
2025年への展望:成長の継続か、それとも調整か?
多くの投資家やアナリストは、AI関連銘柄が引き続き市場をリードすると予測しています。しかし、S&P 500指数のPER(株価収益率)が過去10年の平均を上回っており、調整が必要な局面も予想されます。
また、金利が高止まりする可能性や地政学的リスク、規制強化といった課題も無視できません。