2024年振り返り:金価格、2010年以来最大の上昇を記録
2024年、金市場は注目を集めました。アメリカの金利引き下げ、地政学的リスクの持続、各国中央銀行による金購入が相まって、金価格は前年比27%上昇し、2010年以来最大の上昇率を記録しました。
特に11月のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプ氏が圧倒的な勝利を収めた後にやや下落したものの、そのパフォーマンスは依然として他の多くのコモディティを凌駕しています。
金価格上昇の要因
1. 中央銀行による金の買い入れ
2024年、各国中央銀行はインフレ対策とリスク分散の一環として、金の保有を大幅に増加させました。この傾向は特に新興国で顕著で、外貨準備の一部を金にシフトする動きが見られました。
2. 地政学的不安定さ
ロシア・ウクライナ紛争や中東の緊張など、世界的な地政学的リスクが高まりました。このような状況下で、安全資産としての金の需要が増加しました。
3. アメリカの金利政策
2024年にアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が金利を段階的に引き下げたことで、金利の低下により金市場が支えられました。実質利回りの低下は、金価格にとって追い風となります。
他の金属市場の動向
金の成功とは対照的に、多くの非貴金属や工業用金属は苦戦を強いられました。
1. 鉄鉱石の下落
中国の建設業界の不振により、鉄鋼需要が減少。これにより、鉄鉱石の価格は急激に下落しました。
2. リチウム価格の急落
電気自動車(EV)産業の成長鈍化と、リチウムの供給過剰が重なり、リチウム価格は前年比28%減少。2015年以来最大の下落幅を記録しました。
3. LMEX指数の微増
ロンドン金属取引所(LME)で取引される銅や亜鉛などの主要金属は、中国の需要減退が続く一方で供給過剰が問題視され、2024年を通じて微増にとどまりました。
2025年への展望
2025年に向けて、金属市場はさらなる不確実性を迎える可能性があります。
1. アメリカ経済の影響
トランプ政権下での保護主義的政策が金市場やその他のコモディティにどのように影響を与えるかが注目されます。特に、金利政策の継続や関税措置の影響が鍵となるでしょう。
2. 中国の景気回復
中国政府が景気回復に向けた積極的な政策を講じるかどうかが、非貴金属市場の回復に影響を与えると予想されます。
3. グリーンエネルギーとリチウム市場
リチウム市場は、電気自動車業界の需要動向に引き続き左右されると考えられます。特に、供給過剰がどの程度解消されるかが焦点となります。
まとめ:金市場の転換点
2024年、金は市場の予想を超える驚異的な上昇を見せました。この上昇は、地政学的リスクや経済政策の変化が相まって実現したものであり、2025年に向けても重要な投資先として注目され続けるでしょう。一方、非貴金属市場や工業用金属市場は回復への課題を抱えています。今後の市場動向を注視し、分散投資を検討することが重要です。